①問診
インプラント治療を行う上で、障害になりそうなものを事前にチェックします。またインプラント治療は外科処理ですから、やはり患者さんの体調を十分把握しておく必要があります。例えば長く糖尿病を患っている方だと、傷の治癒が遅れる可能性があるので、骨とインプラントがうまく結合しないケースが出てきます。それ以外にも心臓に疾患のある場合は麻酔管理をよりいっそう慎重に行う必要があります。 |
②口腔内検査・歯周病検査(歯周内科)
虫歯、歯槽膿漏、歯周炎の有無を調べます。また歯以外でも粘膜や骨など、肉眼でチェックできるものはすべてチェックして、口腔内の状態を把握します。治療の前にある程度の虫歯、歯周病、歯槽膿漏の治療を行います。これは感染を防ぐためには必要です。 写真の症例は右下の5番欠損の状態です。入れ歯、ブリッジ、インプラント、それぞれ利点欠点を説明し、患者様がインプラントでの治療を選択されました。 |
③レントゲン検査・CT検査
インプラント治療において顎の骨の量と質・形を調べることは非常に重要なポイントです。 |
④診断
検査の結果やリスクなどをご説明し、患者様に納得していただいたうえで最良の方法で治療できるようにすすめていきます。 |
⑤手術 口腔を消毒後、麻酔をかける
器具や施術者も十分消毒して、感染源を排除します。麻酔は表面麻酔や電動麻酔を使用することでまったく痛みを感じることもなく、確実に効いてきます。モニターで血圧や血液中の酸素濃度、脈拍などを監視するので安心です。 |
⑥手術 骨に孔を形成し、インプラントを埋入
歯肉を切開して、歯槽骨を露出させます。ドリルを使ってその骨に孔をあけ、インプラント(フィクスチャー)を埋め込みます。最後に歯肉を縫い合わせて、第一次治療は終了します。
インプラント埋入直後の写真です。丸いシルバー色はインプラントのキャップが見えています、4本の黒い線は縫合糸で、1週間後に取ります。手術時間は40分、3日ほど腫れや痛みが出ることがあります。 |
⑦第一次治療後の治療期間
入れ歯は10日後から 総インプランントの場合、治療から約1週間ほどは入れ歯の使用は控えていただくことになります。これは治療箇所に強い刺激を与えると、インプラントと骨の結合がうまくいかなくなることがあるからです。 |
⑧第二次治療
インプラントがうまく骨に結合したら、インプラントと人工歯をつなぐアバットメントという支台を装着する第二次治療を行います。アバットメントを取り付け終わったら、治療は終了します。インプラント人工歯をつくる段階に進みます。(2回法の場合) 上部構造の作製と装着上部構造を取り付ける冠やブリッジと呼ばれる、かぶせもの(補綴(ほてつ))の各プロセスは、それぞれ1.5週間程度の時間がかかります。補綴全体にかかる期間はおよそ3週間前後です。インプラントの補綴作業は基本的に入れ歯をつくる作業と似ていますが、はるかに精密さが求められるので、十分な時間が必要とされるのです。アバットメント装着後の写真です。このままだと舌に当たって痛いので、仮歯をいれます。 |
⑨噛み合わせの調整
次に実際に使ってもらって、噛み合わせの状態を調整していきます。1、2週間ほど具合をみて、噛み合わせが悪いために人工歯冠が欠損したり、土台に緩みがないかなどを調べます。噛み合わせが悪いときは、人工歯冠を削って調整することもあります。 |
⑩完成
すべての土台に緩みがなく、ほかにも問題箇所がないと判断できたら、しっかりとネジをしめます。これで補綴は終了です。
最終補綴物が入り、治療が完了した写真です。術前の写真と比較すると、欠損部に歯が入りました。6番(1つ奥の歯)も綺麗になってますが、セラミックで修復しています。 ※治療費 ¥390,000+税(セラミック修復込み) ※治療期間 5か月 ※治療回数 11回 |
メンテナンス
インプラントのメンテンナンスで一番大切なことは、インプラントの周りについた汚れを取り除くことです。
そのためには毎食後の歯ブラシ、歯冠ブラシでプラークコントロールをする必要があります。これはインプラントでも歯槽膿漏と同じような症状を起こすことがあるからです。インプラントは虫歯にはなりませんが歯周病にはなります。
インプラント治療が終わった後は、まず1ヵ月後に定期検診があります。最初の1年はまだ骨が固まっていく過程にありますから、その後も3ヶ月ごとにチェックを受けることが大切です。
定期検診では、インプラントの清掃状態や歯茎の状態、噛み合わせの様子などを見ます。
良い機会ですから、歯の磨き方や手入れの仕方等、インプラントについて日頃から気になっていることを検診のときに歯科医師に相談されるといいでしょう。